詩の翻訳コンテスト、落選!
The Society of Classical Poetsが主催する、詩の翻訳コンテストthe 2022 SCP Poetry Translation Competitionの結果が発表されました。
ロマン派以前の英語以外で書かれた詩を韻律のある英詩に翻訳するというコンテストです。わたしも締め切り間際でしたが参加しました。
わたしが選んだのは夏目漱石の漢詩です。最初は、晩年『明暗』執筆中に書かれた七言律詩を訳そうと思ったのですが、時間的に無理だと思いましたので、以下の漱石自身による山水画の左上に記された七言絶句を訳することにしました。それは以下の漢詩です。
「題自畫」夏目漱石
山上有山路不通
柳陰多柳水西東
扁舟盡日孤村岸
幾度鵞群訪釣翁
その翻訳がこちら。弱強五歩格(iambic pentameter)の四行詩(quartrain)で、ababの脚韻となっています。
"To my landscape painting" by Soseki Natsume
A narrow road leads to the mountaintop,
the shade of willow by the riverside.
An angler all day long does his line drop
and birds fool 'round with him when he is fried.
残念ながら受賞できませんでした。分量が少ないのも評価を下げたのかもしれません。あと、今回1位で受賞されたTalbot Hookさんが李清照「南歌子」、王維「竹里館」、杜牧「清明」の3作を英訳しており、それと比べると、七言絶句1つではさすがに見劣りしますね。ただ、Hookさんが有名な(おそらく、過去にも英訳がある)漢詩を使ったのに対し、わたしは漱石の漢詩の英訳という珍しい課題に取り組んだという点が違います。また、絵画と詩の相乗作用をねらうエクフラシス理論に沿った作品というところも違います。また、次回頑張ってみようと思います。
以下が、入賞作品が記されたリンクです。他の受賞者で気になったのは、佳作(honorable mention)となったHadyn Adamsさんが翻訳したJoséphin Soularyのソネットです。Soularyは、同時代のボードレール影に隠れてしまっていますが、Sonnets humouristiquesというソネット集があり、ボードレールと並んで、近代フランス語ソネットの典型を提供しているものとされています(加納晃『フランス近代ソネット考』)。ちょうど、わたしもフランス語で読み始めていましたので、興味深く思いました。ぜひ以下からご覧になってください。
Winners of the 2022 SCP Poetry Translation Competition Announced
https://classicalpoets.org/2022/02/01/winners-of-2022-poetry-translation-competition-announced/#/
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