入選! 英語俳句コンテスト
1か月に2回ほど様々な詩の創作課題が出され、また1,2か月に一度、賞金付きのコンテストが開催されるThe Society of Classical Poetsという、詩の雑誌をオンラインで刊行している団体が主催する英語俳句コンテストの結果が発表されました。
The 21 Best Haiku of 2021
https://classicalpoets.org/2021/09/05/the-21-best-haiku-of-2021/
1人3句まで投稿できるということですが、今年は339名の参加があったようです。この団体のウェブサイトの掲示板上にどんどん投稿していく感じなので、先に投稿した句がどのようなものかわかってしまうので、やや公正な競争になっていないような気がします。
また、掲示板ですので、みんながワイワイと投稿された句にコメントしたりもしています。そんな中で、「これまで投稿されたものは俳句じゃない」といった厳しい意見が出されたりして、俳句とは何か?について議論が巻き起こったり。
他に、わたしも参加した議論では、季語の扱い方に関する議論があります。実際、1句に季語が複数ある句やさらには季重なり(違う季節の季語を1句に入れること)がある句もあり、これはまずいんじゃないの?といった議論です。もちろん、日本とは違う風土ではそれぞれの季節に適切な季語も違ってきますが、やはり1句には季語1つという原則は守った方がいいのではないかな?とわたしは思いました。ただ、向こうの人たちは歳時記を知らない(持っていない、参照しない)ようで、英語版でしっかりしたものが必要だなと感じました。
今回のコンテストのルールにも書いてあるのですが、英語圏での俳句の理解は、基本的には自然を描くことにあるようです。人間性とかそういうものを描くのは川柳だと。ですので、投稿された句に対して「それは俳句じゃなくて川柳」といったコメントもあったのですが、これは俳句をやや狭くとらえすぎているような気がします。
わたしは以下の3句を投句しました。英語俳句では、5-7-5シラブルの3行詩にするのが一般的です。英語で作ってから、対応する日本語版を作り、一緒に投稿しました。そして、最初の原爆忌の俳句が入選しました! 1句が優勝で賞金100ドルを獲得。残り20句が入賞でした。
A minute's silence
for the atomic bomb-day
The wind also dies
原爆忌風も静かに黙祷す
A swarm of fireflies
lights up a moonless night
during the black out
停電の闇夜に光る蛍かな
A black kite calling
echoes through the whistling sound
A cool mountaintop
山澄みてとんびの声の木霊する
原爆忌の句は、表面上は人々が黙とうする中、風も止んであたかも一緒に黙とうしているようだ、という意味ですが、もう少し深読みすると、ちょうどこの時期は最も暑い日で、そんな中で風も止んでしまい、人々は焼けるような暑さの中で被爆者の苦悩の一部を共に味わうことになったということになります。また、すべての音が止まってしまい、一瞬の静寂が死を予感させるという意味でもあります。自然を描く以外にも、こういう俳句があるんだよ、というメッセージでもありました。選ばれたよかったです。
停電の句は、東日本大震災後、節電を徹底している時期の暗い夜を背景に、蛍が復興への希望を指し示すという内容です。実は、今回のコンテストの優勝者の俳句が、ちょうど同じ季語「蛍 firefly」を使用しており、内容的にも類似しています(わたしの方が先に投句していました)。完成度はともかく、類想の句が優勝すると、ちょっと悔しいですね。掲示板投稿方式の悪い面が出たと思います。
最後のとんびの句は、あえて主催者が期待しているような典型的な自然を描く句を置いてみました。季語は「山澄む」です。とんびは季語じゃないんですね。
以上です。
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