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2016年5月12日 (木)

ピアノでジャズ!(その5)

 なんちゃってジャズ・ピアノ奏法、第5回目です。本題の前に、最近買った本をご紹介します。

The Real Easy Book: Tunes for Beginning Improvisers

 現在、第3巻まで出ています。それぞれの巻に収録されている曲目は、出版社のサイトなどで確認してみてください。

 内容は、アメリカの中学・高校の吹奏楽バンド(?)で使うために作られたテキストで、基本は、タイトル通りのリードシート(メロディとコード名だけの楽譜)です。が、色々と工夫が施されています。

 まず、ピアノ伴奏のコード・ヴォイシング例が挙げられています。3音ヴォイシングを基本にして、両手、片手の2通りが示されています。簡単なものですが、これが曲に合わせてすぐに使えるようなヴォイシングになっています。

 『はじめてのジャズ・ピアノ・トリオ』にも、曲で使うコードがリードシートの脇に示されていますが、あれは定義的なもので、コードの構成音をただ示しただけのものです。実際の演奏では、自分でコードの転回形を考えたり、音を減らしたり、工夫しないと使えません。その点、こちらの本は実に実践的です。

 他には、コード進行に沿った基本的なベースラインやギターコード、曲中のアドリブで使えるスケール、さらに管楽器がメロディ以外を吹くときの旋律例までも記されています。各パートがここに記されている通りに演奏するだけでも、ちゃんとした曲になるようになっています。まさに至れり尽くせりの本です。非常にお勧めです! 

 さて、今日はジャズとクラシックのことを少し述べたいと思います。

 ジャズ・ピアノをやってみようと思っている方の多くは、経験の差はあれ、クラシックのピアノを学んでいるのではないかと思います。それで、日々クラシックの練習をしつつ、ジャズ・ピアノが弾けたらかっこいいだろうなあ! と思っているのではないでしょうか? (わたしがそうです)

 ここで紹介してきたジャズ・ピアノのなんちゃって奏法では、基本は左手でコード、右手でメロディとアドリブになりますから、実は慣れてくると、曲が単純すぎてだんだんと物足りなくなると思います。

 かといって、ジャズ・ピアニストの演奏を採譜した楽譜ではちょっと難しすぎる。『ブルグミュラー25の練習曲』をやっているか、終了した程度の初中級者はきっとそう思っていると思います。

 そこで、そういう人がスキルアップするために、レパートリーに入れてみたらよいと思われるクラシックの演目をご紹介しようと思います。

 ジャズへの影響という意味では、おそらく筆頭に上がるのがドビュッシーです。ビル・エヴァンスをはじめ、モダン・ジャズのミュージシャンたちはみんな影響を受けていると思います。ベルガマスク組曲「パスピエ」などは、バド・パウエルの曲みたいに聞こえますし。

 他に、フォーレラヴェルメシアンなど、フランスの近現代の作曲家は多かれ少なかれ、ジャズのサウンドに影響を与えていますね。

 なので、これらの作曲家たちのピアノ曲は、ジャズが好きな人なら好きになるでしょうし、練習すればジャズ・ピアノのテクニック向上にも役立ちます。しかし、いかんせん、これらの曲のほとんどが初中級者には難しいです。

 それでも、ドビュッシーの「アラベスク第1番」「亜麻色の髪の乙女」「月の光」などは、ゆっくりじっくり取り組めば、難しいところもあるのですが、まだなんとかなりそうです(ブルグミュラーの「天使の声」から始めてもよいでしょう)。また、「小さな黒人」「ゴリウォーグのケークウォーク」は、ラグタイムというジャズの前身に当たるジャンルに影響を受けた曲で、弾いて楽しく、ジャズの演奏にも役立ちます。

 ラグタイムといえば、映画『スティング』で使われた「Entertainer」を作曲したスコット・ジョプリンが代表的な作曲家です。原曲はオクターブ奏法があったり、難易度はやや高いですが、少し易しくアレンジした楽譜が色々と出ていますので、そこから試してみるといいと思います。

 ラグタイムに特徴的なピアノ奏法は、ストライド奏法というものです。簡単に言えば、左手がベース音とコードを交互に弾いてリズムを取る奏法のことです。たいがい、ベース音はかなり低い音で弾いて、そこから跳躍してコードを押さえる、という奏法になります。

 要するに、ストライド奏法というのは、ワルツの変形なんだなと思ってもらえばよいと思うのです。なので、ワルツの練習もジャズ・ピアノのテクニック向上に有効だと思います。

 では、ワルツの練習はどうすればいいか?ということですが、ずばりショパンをやりましょう! (もちろん、ブルグミュラーの「スティリアの女」もワルツですので、そこから始めてもいいでしょう)。「子犬のワルツ」がとても有名ですね。ショパンといえば上級者向けというイメージがありますが、ワルツについては初中級者でも取り組める程度のものがあります。

 一番やさしいのは、第19番遺作イ短調です。第18番遺作変ホ長調も易しい方です。第9番変イ長調「別れのワルツ」、第10番ロ短調、第3番イ短調などもそうですね。初中級者にとっては曲が長いというのがひとつの問題になりますが、繰り返しも多いですので、じっくり気長にやればいいと思います。

 ショパンの短調のワルツは、あと一歩でジャズ・バラードになるなあ、という感じの曲が多いので、ストライド奏法の練習もかねて取り組んでみてください。あと、上記のワルツと同程度の難易度で取り組める曲が、ショパンのノクターン集にもあります。あの超有名な第2番変ホ長調も、比較的易しい方です。音域の広いアルペジオなどしっかり練習すれば、ジャズ・ピアノにも生かせます。

 フランス近現代のピアノ曲は難しいと書きましたが、例外的に易しいのはエリック・サティです。ドビュッシーの前に取り組んでみてもいいかもしれません。例えば、有名な「ジムノペディ第1番」や「お前が欲しい」はワルツですし、「ピカデリー」という曲はラグタイムですので、上記の曲の前に指(腕?)慣らしするのもいいかもしれませんね。

 それから、バルトーク「ミクロコスモス」は入門段階から取り組めるものですが、練習内容を見ますと、教会旋法やペンタトニックを使った曲がよく出てきます。民族音楽的なリズムだったり、対位法だったり、ジャズ・ピアノでも有効なテクニックも色々学べますし、ぜひレパートリーに取り入れたいものです。

 そして、対位法といえば、やはりバッハですね!

 ジャック・ルーシェ、ジョン・ルイス、オイゲン・キケロ、キース・ジャレットなど、多くのジャズ・ピアニストがバッハに取り組んでいます。ビル・エヴァンスの自宅のピアノの上にはいつも平均律クラヴィーア曲集があったといいますし、バッハはジャズ・ピアニストの必修科目だと思います。

 たとえば、山下洋輔氏はあるインタビューで、バッハをジャズ風に弾くとチャーリー・パーカーみたいなフレーズになると言っています。実際、パーカーはバッハを研究したらしいです。

 また、藤井英一氏のアレンジしたクラシック曲集の中に、バッハの二声インヴェンション第1番があります。メロディはほぼ原曲のままで、左手でジャズ風のコードをつけているのですが、まさにビバップという感じがします。バド・パウエルにはBud on Bachという曲もあります。

 ということで、バッハは重要なわけですが、では何を練習すればいいか? まず「平均律クラヴィーア曲集」ですね。もちろん、フーガは難しいと思いますが、プレリュードには初中級者が取り組めるもので、しかも素晴らしいものが色々あります。

 とはいえ、いきなりでは難しすぎるという人は、「インヴェンションとシンフォニア」がお勧めです! 二声のインヴェンションをやってから三声のシンフォニアに進む、というのが通常のコースかと思いますが、実はこの2つはかなり違うテクニックを要求されるので、同時並行でも大丈夫かと思います。

 インヴェンションでは、左右の手で独立したメロディを弾くので、指の独立をよく訓練することができます。また、テーマを次々と変奏していく感じなので、アドリブの練習にもなりますね。

 インヴェンションで最も易しいのは4番だと思います。1番はわかりやすいですが、難しい部分もあります。8番は最も有名なもので、かつてTVのCMでキース・ジャレットが弾いているのを見たことがあります。残念ながら、録音は発表されていないようですが。。。あと、14番は装飾音とアルペジオの練習ですが、ビバップのアドリブみたいに感じます。13番もです。

 それに対して、シンフォニアでは、片手で二声を同時に弾くために、一部の指が鍵盤を押さえたまま、別の指が動くという音の保持や、中間の声部を左右の手で受け渡しするといったことが学ぶべき重要なテクニックになります。これらは、ジャズ・バラードなどを弾くときなどに役立ちます。

 また、シンフォニアと並行して、シューマン「子供の情景」を練習することをお勧めします。すべての曲が素敵ですし、また上記のシンフォニアで重点的に学ぶテクニックが、もう少し易しく学べます。ベートーヴェンの「月光」第1楽章、「悲愴」第2楽章、ショパンの前奏曲第6番、第15番「雨だれ」、エチュード第3番「別れの曲」も、こうした練習になるでしょう。

 それから、讃美歌もこうした曲の練習に加えると、音の保持などのよい訓練になりますし、ジャズ・バラードの基本はこうしたコラールです(ブルグミュラーでいえば、「アヴェ・マリア」がそれに当たります)。また、セロニアス・モンクは讃美歌のうち、Abide with me (Fast fall the eventide)とBlessed assuranceを録音していますので、ジャズと全く無縁ではないことがわかるでしょう。

 でも、まだ「インヴェンションとシンフォニア」は難しいという人は、バルトークの「ミクロコスモス」やバッハの「アンナ・マグダレーナの音楽帖」「プレ・インヴェンション」などからはじめてみるといいと思います。

 以下に示している楽譜は、参考例であって、最善のエディションではない場合があります。バッハについては、運指やフレージング、強弱などが示されていない原典版が学術的に意味のあるものですが、対位法がはじめての人は運指が詳しい楽譜からはじめるといいと思います。高木版はそうしたものの1つです。

 讃美歌については、「教会福音讃美歌」がお勧めです。新しい曲も色々と入っており、すべての曲にコード名が付されているのもうれしいですね。ジャズ風にアレンジする出発点になると思います。

 

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