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ごあいさつ


 北海道函館市の公立大学で教員をしている川越敏司と申します。同姓同名の経済学者がおりますが、それはわたしです。川越達也という料理家がおりますが、縁戚関係はありません。

 最近は漢詩やソネットなどの詩作に取り組んでいます。漢詩については同人誌『蓬莱同学集』に第3集から参加しています。英詩の方は始めたばかりです。

 以前は、チェス・プロブレムの創作をやっていました。The Problemist, Die Schwalbe, StrateGems, Problem Paradise, KoBulChessなどのプロブレム専門誌に作品が掲載されています。

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[受賞歴・掲載歴]

"Angel Production" (Ekphrastic Writing Challenge, The Ekphrastic Review, 2022年1月作品掲載

"An Uncharted Star" (Ekphrastic Writing Challenge, The Ekphrastic Review, 2021年9月作品掲載

"The 21 Best Haiku of 2021" (The Society of Classical Poets, 入選)

英語俳句 (Ekphrastic Writing Challenge, The Ekphrastic Review, 2021年以降、作品掲載多数

"All This Glamour" (Ekphrastic Writing Challenge, The Ekphrastic Review, 2021年6月作品掲載

第5回京町川柳大賞「京町川柳賞」受賞

愚陀佛庵インターネット俳句会2014年10月分・秀逸

「父さんのはさみ」(第6回宮城学院ハートフル童話賞、最終選考

「インディアン・ポーカー」(第9回小説現代長編新人賞、第1次選考通過、2次落選

「懲役千年の刑」(第22回小説の虎の穴、佳作

「山の家に住む少女」(第23回ゆきのまち幻想文学賞、予備選考通過、最終選考落選

「ぎこちないハーモニー」(第47回北日本文学賞、第2次選考通過、3次落選

「新しい国への扉」(樹立社ショートショートコンテスト2012、5等星 [2位] )

「インディアン・ポーカー[短編]」(第19回電撃小説大賞、第1次選考通過、2次落選

"Time of departure"(AnotherRealm、2012年4-5月期コンテスト、第3位入賞

「ハンナの夕食」(第5回宮城学院ハートフル童話賞、最終選考

「暗闇の中の光」(第157回コバルト短編小説新人賞、もう一歩の作品

「インディアン・ポーカー[短編]」(第3回創元SF短編賞、第1次選考通過、2次落選

「皮肉な方程式」(第3回創元SF短編賞、第1次選考通過、2次落選

「インディアン・ポーカー[SS]」(『SFマガジン』2011年10月号「リーダーズ・ストーリィ」、作品掲載

「五人のパパ」(『SFマガジン』2011年6月号「リーダーズ・ストーリィ」、選評掲載)

「ロボットの沈黙」(『SFマガジン』2011年6月号「リーダーズ・ストーリィ」、選評掲載)

「水たまり」(『小説現代』2011年5月号「ショートショート・コンテスト」、選考通過、第9席

「老年期の終わり」(『SFマガジン』2011年4月号「リーダーズ・ストーリィ」、選評掲載)

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 投稿記録は以下のウェブページに掲載しています。また、メールでの連絡先もこちらにございます。

http://www.fun.ac.jp/~kawagoe/sakuhin.html

 この記事の次からが最新の記事となっています。英語や古典ギリシア語からの翻訳ショートストーリーなど、様々なお話をお届けしています。そのうちフランス語からの翻訳ストーリーもお届けできると思います。ほとんど備忘録程度ですが、本の紹介も随時行っています。どうぞお楽しみください。

2022年7月 2日 (土)

英詩が海外雑誌に掲載!

絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句3部作とその日本語版が掲載されました。

Ekphrastic Challenge Responses: Robert Rauschenberg
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-challenge-responses-robert-rauschenberg

今回の課題はロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)さんというネオダダの代表的なアーティストの"Factum 1"という作品でした。写真とか絵とかをコラージュした越境的な作品です。

以下が採択された英詩とその日本語訳です。2本の木の写真と鳥のように見える絵から、白居易の「長恨歌」で有名な「比翼連理」を連想し、はかなく終わった愛の日々を追憶するような内容にしました。タイトルの"Everlasting Regret"は「長恨歌」の英訳タイトルです。詩形は、連続する2行が同じ脚韻で、かつ各2行の先頭がLike, Like, We, Weと頭韻を踏み、最後の2行がWe, Likeという形にしています。

"Everlasting Regret" by Toshiji Kawagoe

Like trees entwined branches once we were here,
no doubt our bond of love no one could tear.

Like a couple of male and female birds
with one eye and one wing in other words,

We needed to live together to fly,
our eternal vows nothing could untie.

We never thought our love would slip away
Like an old calendar faded away.

「永遠の悔恨」by 川越敏司

枝を絡ませた2本の木のように、僕たちはここに暮らしていた
二人の愛の絆は誰にもほどけないと疑わずにいた

それぞれ片目と片翼しかない雌と雄の鳥は
つがいでなければ飛べないように

僕たちも二人一緒でないと生きられないはずだった
永遠の愛の誓いを破るものなど何もないはずだった

この色褪せた古いカレンダーのように
僕たちの愛が覚めていくなんて思いもしなかった

2022年2月11日 (金)

英語俳句が海外雑誌に掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句3部作とその日本語版が掲載されました。

Ekphrastic Writing Responses: Kizito Maria Kasule
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-responses-kizito-maria-kasule

 今回の課題はキジト・マリア・カスレ(Kizito Maria Kasule)さんという現代の画家の"Togetherness"という絵画でした。シュールレアリスム的な絵ですね。

  以下が採択された英語俳句とその日本語版です。英語俳句は5音節・7音節・5音節という構造です。季語は「神迎」。神無月に地上を離れた八百万の神々が返ってきたのを迎える祭事です。課題の絵画では黒人男性と白人女性の他に青い肌の宇宙人(?)もいるのですが、八百も神様がいるのなら宇宙人の神様もいるだろう、そんな肌の違いを乗り越えて、裸になればみなわかりあえる、そういう意味の俳句を作りました。

英語俳句
Let's take off our clothes
Then unbind our captive souls
Here comes heaven

日本語訳
さあ、みんな服を脱ぎ捨てよう
そうして偏見やこだわりは捨ててしまおう
そうすればここはもう天国

日本語版
肌の色違ふ人いて神迎

2022年2月 2日 (水)

詩の翻訳コンテスト、落選!

The Society of Classical Poetsが主催する、詩の翻訳コンテストthe 2022 SCP Poetry Translation Competitionの結果が発表されました。
ロマン派以前の英語以外で書かれた詩を韻律のある英詩に翻訳するというコンテストです。わたしも締め切り間際でしたが参加しました。

わたしが選んだのは夏目漱石の漢詩です。最初は、晩年『明暗』執筆中に書かれた七言律詩を訳そうと思ったのですが、時間的に無理だと思いましたので、以下の漱石自身による山水画の左上に記された七言絶句を訳することにしました。それは以下の漢詩です。

「題自畫」夏目漱石

山上有山路不通
柳陰多柳水西東
扁舟盡日孤村岸
幾度鵞群訪釣翁

その翻訳がこちら。弱強五歩格(iambic pentameter)の四行詩(quartrain)で、ababの脚韻となっています。

"To my landscape painting" by Soseki Natsume

A narrow road leads to the mountaintop,
the shade of willow by the riverside.
An angler all day long does his line drop
and birds fool 'round with him when he is fried.

Photo_20220202080601

 残念ながら受賞できませんでした。分量が少ないのも評価を下げたのかもしれません。あと、今回1位で受賞されたTalbot Hookさんが李清照「南歌子」、王維「竹里館」、杜牧「清明」の3作を英訳しており、それと比べると、七言絶句1つではさすがに見劣りしますね。ただ、Hookさんが有名な(おそらく、過去にも英訳がある)漢詩を使ったのに対し、わたしは漱石の漢詩の英訳という珍しい課題に取り組んだという点が違います。また、絵画と詩の相乗作用をねらうエクフラシス理論に沿った作品というところも違います。また、次回頑張ってみようと思います。

 以下が、入賞作品が記されたリンクです。他の受賞者で気になったのは、佳作(honorable mention)となったHadyn Adamsさんが翻訳したJoséphin Soularyのソネットです。Soularyは、同時代のボードレール影に隠れてしまっていますが、Sonnets humouristiquesというソネット集があり、ボードレールと並んで、近代フランス語ソネットの典型を提供しているものとされています(加納晃『フランス近代ソネット考』)。ちょうど、わたしもフランス語で読み始めていましたので、興味深く思いました。ぜひ以下からご覧になってください。

Winners of the 2022 SCP Poetry Translation Competition Announced
https://classicalpoets.org/2022/02/01/winners-of-2022-poetry-translation-competition-announced/#/

 

2022年1月15日 (土)

海外雑誌にソネット掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの創作したソネットが掲載されました。

 この雑誌で2週間に一度、課題の絵が提示されて、それにちなんだ詩や小説を投稿し競い合うEkphrastic Writing Challengeというイベントがあるのですが、そこに応募しました。応募したのは、シェイクスピア風ソネットです。弱強五歩格(iambic pentameter)で、脚韻はabab cdcd efef ggとなります。

 今回の課題となったアートは現役の画家ソーニャ・ゴンザレスさんの"Angel Production"という作品です。「天使の興行」ということで、少しユーモラスな感じのソネットを書いてみました。

 掲載作は以下のリンクからご覧ください。

Ekphrastic Writing Responses: Sonya Gonzalez
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-responses-sonya-gonzalez

以下は、このわたしのソネットとその日本語訳です。

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"Angel production" by Toshiji Kawagoe

Here stands the troop of angels on the stage.
An archangel is a vocal solo
whose name is Gabriel the one most sage,
his anthem is the highlight of the show.

Behold! another archangel stands there,
His name is Raphael he swings the wand
with graceful manner thus directs with care
the string band amazingly well respond.

But where is he the last but not the least
of archangels the guardian fighter?
As he's always late even for the feast,
troubled-eyes angel's now the backbiter.

Once God our father in heaven declares
the opening, Mike falls down the backstairs.

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「天使の興行」by 川越敏司

天使の軍勢がステージに立っている
大天使がソロのヴォーカリストで
その名はガブリエル、最も知恵深い天使で
その賛歌こそこの舞台のハイライト

見て! もう一人の大天使がそこにいる
彼の名はラファエル、指揮棒を
優雅に振って、注意深く指揮している
弦楽合奏団も素晴らしくその指揮に応えている

でも彼はどこだろう? 大天使の中では
決して他より見劣りはしない、守護天使にして戦士である彼
祝いの席であろうといつも遅刻するので、
心配そうな目をした天使でさえ陰口を叩いている

やがて天の父なる神が開会を宣言すると
ミカエルが裏階段から転げ落ちてきた

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2021年12月 3日 (金)

英語俳句が海外雑誌に掲載!

絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句3部作とその日本語版が掲載されました。

Caroline Bacher: Ekphrastic Writing Responses
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-responses-caroline-bacher

 今回の課題はキャロライン・ベイチャー(Caroline Bacher)さんという現代の画家の"Cross My Heart and Hope to Die, Stick a Needle In My Eye."という絵画でした。シュールレアリスム的な絵ですね。

 最初、このシュールな絵に対してどのような詩を書こうかと迷っていたのですが、ふと、手のひらの眼に針を刺そうとしているこの絵から、谷崎潤一郎の『春琴抄』を連想しまして、今回はこの物語のストーリーに沿った俳句連作にすることにしました。

 1つ目は、春琴または佐助の弾く三味線と、夜更けに聞こえる砧を打つ音が共鳴するという俳句です。季語は「小夜砧」(秋)。砧は日本や中国では夫の帰りを待つ女の悲しさを表現するもので、謡曲(能)にも作品がありますね。

 2つ目は、自らの眼を針で刺して盲目となった佐助が春琴と密かに思いを交わすという場面を描いた俳句です。季語は「胡蝶の夢」(春)。こちらの季語は『荘子』で有名なたとえですね。この世では一緒になれない春琴と佐助が夢の中では誰にはばかることもなく愛し合うことができる、そんな思いを託してみました。

 3つ目は、季語は「雲雀」(春)ですが、作中でわたしが最も美しいと思う「揚げ雲雀」のシーンを描いた俳句です。雲雀を籠から放ち、空高く舞わせ、戻ってくるまでに、揚がったその高さを競うというものです。「連理の枝」は言わずと知れた白居易の漢詩「長恨歌」の一節で、玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を表すものです。それを春琴と佐助に重ねました。

 では、この俳句三部作をお楽しみください。

1.
The shamisen strings
in the night resonates with
the sound of beating cloth.

三弦の音に響き合う小夜砧

2.
Into the darkness
both of us blindly follow
the butterfly dream.

盲目の二人胡蝶を夢に見る

3.
Skylark soars freely
through the skies, but our romance
leads to a dead end.

雲雀啼く連理の枝になれぬ我らよ

2021年11月19日 (金)

英語俳句が海外雑誌に掲載!

絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句とその日本語版が掲載されました。

 今回も締め切り間際に、俳句ならできるだろうとがんばって送ってみたところ採択されていました。

Han Van Meegeren: Ekphrastic Writing Responses
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-prompt-challenge-responses-han-van-meegeren

 今回の課題はハン・ファン・メーヘレン(Han Van Meegeren)の"Christ with the Woman Taken in Adultery"という絵画でした。ちなみに、このメーヘレンという人は、フェルメールの贋作で有名な人ですね。この人の伝記を基にした「ナチスの愛したフェルメール」という映画もあります。

 絵画の題材となった場面は、新約聖書のヨハネの福音書第8章に描かれている「姦淫の女」です。ファリサイ人や律法学者らによって姦淫の罪で捕らえられた女性がイエスの前に連れてこられ、イエスを試すために、彼らは律法によればこの女は石打ちで処刑しなければならないがどうする?と問いかけます。イエスは「あなたたちの中で罪のない人がまず石を投げなさい」と答え、年配の者から順に去って行ったというエピソードです。

 年配の者から去った、という記述があるところが聖書のリアリティで、年配の人ほどこれまでに犯した罪も多いはずだということですね。ちなみに、昔はこの姦淫の女とマグダラのマリアを同一視する人もいたようですが別人です。また、このエピソード全体が、有力な写本にはなく、後からの挿入とも考えられています。ただ、ヨハネの福音書全体のトーンとは整合性が高いので、ヨハネの弟子たちの作かもしれませんし、編集の都合でもれてしまっただけかもしれません。

 以下が採択された英語俳句とその日本語版です。英語俳句は5音節・7音節・5音節という構造です。日本語版では季語「女郎花」と「男郎花」を使って2つを対にして作りました。英語俳句の方は実は季語がありません。ちなみに、男郎花は花はキレイですが、根は腐臭がするということから、偽善者の形容にぴったりだと思いました。

1.
英語俳句
O you! Poor woman,
Why do you keep your mouth shut
about ex-lover?

日本語訳
ああ、かわいそうな女よ!
どうしてお前は口をつぐんでいるのか
かつての恋人のことについて?

日本語版
女郎花手折りし者の名も告げず

2.
英語俳句
O man! You Pharisee,
Why do you turn a blind eye
to your hidden sin?

日本語訳
ああ、この偽善者よ!
どうしてお前は目を背けるのか
おまえ自身の隠れた罪から?

日本語版
花白き男郎花には腐臭の根

 

2021年11月 5日 (金)

【落選】海外雑誌に英語短歌と英語俳句投稿

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに投稿しましたが、編集者さんの巻頭言によれば、今回もまたまた投稿数が多く激戦だったようで、落選しました。

 この雑誌で2週間に一度、課題の絵が提示されて、それにちなんだ詩や小説を投稿し競い合うEkphrastic Writing Challengeというイベントがあるのですが、そこに応募しました。応募したのは、英語短歌と英語俳句です。

 今回の課題となった絵は以下のリンクからご覧ください。ハロウィンらしく、「魔女たちの踊り」に関する絵画です。

Ekphrastic Writing Responses: The Witches Dance
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-responses-the-witches-dance

 以下は、このわたしの短歌・俳句とその日本語訳、それに日本語版です。それぞれ、英語の方も5-7-5-7-7および5-7-5のシラブルになっています。

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The witches dances
in a masquerade ball
on Halloween night.
A bride, my dear, dressed in white
also dances with bare foot.

日本語訳
魔女たちは踊る
ハロウィンの夜の
舞踏会
白い花嫁衣裳の愛しき妻よ
君も裸足で踊っている

日本語版
ハロウィンの夜に素足で踊る君白いドレスの魔女との挙式

All the dead enjoys
licentious merrymaking
on All Hallow's eve.

日本語訳:
死者たちも
浮かれて騒ぐ
万聖節

日本語版
死者たちと踊る今宵は万聖節

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2021年10月26日 (火)

【落選】海外雑誌にソネット投稿

絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの創作したソネットを投稿しましたが、今回は落選だったようです。

 この雑誌で2週間に一度、課題の絵が提示されて、それにちなんだ詩や小説を投稿し競い合うEkphrastic Writing Challengeというイベントがあるのですが、そこに応募しました。応募したのは、やや変則的なソネットです。脚韻のパターンが、abab cddc effe ggと、シェイクスピア風とペトラルカ風が混じっています。

 今回の課題となった絵は以下のリンクからご覧ください。

Ekphrastic Writing Responses: Java Shadow Puppet
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-responses-java-shadow-puppet

 以下は、このわたしのソネットとその日本語訳です。

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"Krishna" by Toshiji Kawagoe

Krisha otherwise known as Jagannath
wearing the crown made of peacock feather
around his waist wrapped a golden breechcloth.
He's the top of the gods all together.

As he's a Hindu god, his skin is dark
and his blue shadow's projected on the screen
in a dim lighting when he plays the scene
in the temple enshrined our patriarch.

It's a Wayang puppet theater play
which limns the Hindu epic in the show.
For the outsiders it's plot is cliche
and its gamelan music is too slow,
for me watching it never be soured on
my fascination from midnight to dawn.

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「クリシュナ」by 川越敏司

クリシュナはジャガンナートとしても知られていて
クジャクの羽でできた冠をかぶっており
その腰には金のドウティ(腰布)をまとっている。
彼こそあらゆる神々の中の頂点に立つ者。

彼はヒンドゥー教の神だから、その肌は黒く、
わたしたちの祖先が祭られている神殿で、
おぼろげな灯りの中で演じられるその場面では
その影は青くスクリーンに映し出されている。

そう、これはワヤンの人形劇で、
ヒンドゥー教の叙事詩を描写したショーなのだ。
よそ者にとっては陳腐な筋書きかもしれないし、
ガムラン音楽はあまりにもテンポが遅いが、
わたしはそれを見ることに飽きたことは一度もなく、
深夜から夜明けまでその魅力は尽きることがない。

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2021年10月 8日 (金)

英語俳句が海外雑誌に掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句とその日本語版が掲載されました。

 前回は忙しくて応募できず、今回も締め切り間際に、俳句ならできるだろうとがんばって送ってみたところ採択されていました。ところが、以下の記事の冒頭に雑誌の編集者さんのコメントがあり、今回は応募総数が多く激戦だったようです。

Elin Danielson-Gambogi: Ekphrastic Writing Responses
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/elin-danielson-gambogi-ekphrastic-writing-responses

 今回の課題はエレン・ダニエルソン(Elin Danielson)の"After Breakfast"という絵画でした。

 朝食の後、煙草を手にボーッとしているこの女性。わたしは、いつものように慌ただしく仕事に出かけてしまった夫に取り残された寂しい女性のように捉えました。しかも、まだ年齢も若く、新婚かもしれないとも思いました。まるで、花瓶に生けられている摘みたての花のように、その花の盛りを誰にも気付かれていないまま放置されている。そういう様子を俳句に詠んでみました。

 ちなみに、花瓶に生けられている花は、おそらくノースポール(North Pole)だと思います。スノー・デイジーとかミニ・マーガレットとも呼ばれるもののようです。キク科の花なので、日本語の俳句では冬菊(あるいが寒菊)がそれに当たると思います。冬の菊といってもあまり見ない(注目されない)かもしれません。そこで、この寂しい女性と冬菊を重ね合わせてみたわけです。

 以下が採択された英語俳句とその日本語版です。英語俳句は5音節・7音節・5音節という構造です。

英語俳句
North pole in a vase
once plucked from the wilderness
who knows its full bloom?

日本語訳
花瓶の中のノースポール
かつて野原から摘み取られてきた
その花の盛りを誰も知らない

日本語版
冬菊や盛りのときを人知らず

 

2021年9月10日 (金)

海外雑誌にソネット掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの創作したソネットが掲載されました。

 この雑誌で2週間に一度、課題の絵が提示されて、それにちなんだ詩や小説を投稿し競い合うEkphrastic Writing Challengeというイベントがあるのですが、そこに応募しました。応募したのは、シェイクスピア風ソネットです。

 今回の課題となったアートはジョセフ・コーネル(Joseph Cornell)の"Planet Set"という作品です。この作品は、19世紀のオペラ歌手ジュディッタ・パスタ(Guiditta Pasta)に捧げられたものです。コーネルは今や忘れられたロマン派時代のオペラやバレエのスターたちを崇拝していたと言われており、この逸話をきっかけにして、ちょっと甘酸っぱいラブストーリー仕立てのソネットを書いてみました。

 掲載作は以下のリンクからご覧ください。

Ekphrastic Writing Responses: Joseph Cornell
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-responses-joseph-cornell

 

以下は、このわたしのソネットの日本語訳です。

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"An Uncharted Star" by Toshiji Kawagoe

Do you remember a celestial map
on a shelf of a laboratory
in our high school among the heap of scrap
neglected but kept its former glory?

Beside of it an assemblage of balls
expressed the planets orbiting around
the sun, but now on earth each of them falls
and they get dumped and packed in a box browned.

Though these stars are almost forgotten now
I still recall your dream you told to me
when we searched an uncharted star somehow
in the night sky and I still want to see
your comeback as a ballet star on stage
and look up your lasting shine from backstage.

「星図にない星」by 川越敏司

君はあの星図を覚えているかい?
それは僕たちの高校の理科室の
棚の上でガラクタと一緒にされて
忘れられていたけど、在りし日の輝きは失っていなかった。

そのそばには一群のボールがあって
それは太陽の周りを巡る惑星を
表していたけれど、いまはそのどれもが床の上に
投げ捨てられ、茶色に変色した箱に押し込められている。

いまはこの星々はほとんど忘れられているけれど
僕は君が語ってくれた君の夢をまだ覚えている。
それはどうにかして星図にない星を夜空に
見つけようとしていた頃のことだけど、僕はいまだに
君がバレエのスターとして戻ってくるのを待ち続けている。
そして舞台裏からいつまでも色あせない君の輝きを見上げていたいんだ。

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2021年9月 6日 (月)

入選! 英語俳句コンテスト

 1か月に2回ほど様々な詩の創作課題が出され、また1,2か月に一度、賞金付きのコンテストが開催されるThe Society of Classical Poetsという、詩の雑誌をオンラインで刊行している団体が主催する英語俳句コンテストの結果が発表されました。

The 21 Best Haiku of 2021
https://classicalpoets.org/2021/09/05/the-21-best-haiku-of-2021/

 1人3句まで投稿できるということですが、今年は339名の参加があったようです。この団体のウェブサイトの掲示板上にどんどん投稿していく感じなので、先に投稿した句がどのようなものかわかってしまうので、やや公正な競争になっていないような気がします。

 また、掲示板ですので、みんながワイワイと投稿された句にコメントしたりもしています。そんな中で、「これまで投稿されたものは俳句じゃない」といった厳しい意見が出されたりして、俳句とは何か?について議論が巻き起こったり。

 他に、わたしも参加した議論では、季語の扱い方に関する議論があります。実際、1句に季語が複数ある句やさらには季重なり(違う季節の季語を1句に入れること)がある句もあり、これはまずいんじゃないの?といった議論です。もちろん、日本とは違う風土ではそれぞれの季節に適切な季語も違ってきますが、やはり1句には季語1つという原則は守った方がいいのではないかな?とわたしは思いました。ただ、向こうの人たちは歳時記を知らない(持っていない、参照しない)ようで、英語版でしっかりしたものが必要だなと感じました。

 今回のコンテストのルールにも書いてあるのですが、英語圏での俳句の理解は、基本的には自然を描くことにあるようです。人間性とかそういうものを描くのは川柳だと。ですので、投稿された句に対して「それは俳句じゃなくて川柳」といったコメントもあったのですが、これは俳句をやや狭くとらえすぎているような気がします。

 わたしは以下の3句を投句しました。英語俳句では、5-7-5シラブルの3行詩にするのが一般的です。英語で作ってから、対応する日本語版を作り、一緒に投稿しました。そして、最初の原爆忌の俳句が入選しました! 1句が優勝で賞金100ドルを獲得。残り20句が入賞でした。

A minute's silence
for the atomic bomb-day
The wind also dies
原爆忌風も静かに黙祷す

A swarm of fireflies
lights up a moonless night
during the black out
停電の闇夜に光る蛍かな

A black kite calling
echoes through the whistling sound
A cool mountaintop
山澄みてとんびの声の木霊する

 原爆忌の句は、表面上は人々が黙とうする中、風も止んであたかも一緒に黙とうしているようだ、という意味ですが、もう少し深読みすると、ちょうどこの時期は最も暑い日で、そんな中で風も止んでしまい、人々は焼けるような暑さの中で被爆者の苦悩の一部を共に味わうことになったということになります。また、すべての音が止まってしまい、一瞬の静寂が死を予感させるという意味でもあります。自然を描く以外にも、こういう俳句があるんだよ、というメッセージでもありました。選ばれたよかったです。

 停電の句は、東日本大震災後、節電を徹底している時期の暗い夜を背景に、蛍が復興への希望を指し示すという内容です。実は、今回のコンテストの優勝者の俳句が、ちょうど同じ季語「蛍 firefly」を使用しており、内容的にも類似しています(わたしの方が先に投句していました)。完成度はともかく、類想の句が優勝すると、ちょっと悔しいですね。掲示板投稿方式の悪い面が出たと思います。

 最後のとんびの句は、あえて主催者が期待しているような典型的な自然を描く句を置いてみました。季語は「山澄む」です。とんびは季語じゃないんですね。

 以上です。

2021年7月31日 (土)

英語俳句が海外雑誌に掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句とその日本語版が掲載されました。

Willem van Haecht: Ekphrastic Challenge Responses
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/willem-van-haecht-ekphrastic-challenge-responses

 今回の課題はヴィレム・ファン・ハーヒト(Willem van Haecht)の"The Gallery of Cornelis van der Geest"という絵画でした。絵画の中に絵画(や彫刻)が描かれているという入れ子型構造をしていますね。

 以下が採択された英語俳句とその日本語版です。英語俳句は5音節・7音節・5音節という構造です。

英語俳句:
The Virgin and child
dazzles its spectators' eyes
in the autumn haze.

日本語訳:
聖母子が
観客の目をくらませるほど驚嘆させている
秋霞

日本語版:
聖母子の後光眩しき秋麗(うらら)

 あと、こちらは採用されませんでしたが、今回の課題のために作ったシェイクスピア風ソネットです。abab cdcd efef ggの脚韻です。

"At the Gallery of Cornelis van der Geest"

In an autumn day with cool and crisp air,
a spice merchant in Antwerp invited
high-borns to an open ceiling space where
a lot of paintings were exhibited.

A famed artist Rubens who attended
as a reliable guide in the tour
as well a painter van Dyck presented
Virgin and Child of Matsys on the floor.

But lo! A gentleman got out of line
and showed an interest in Wildens's work
of a huntsman bringing hound dogs in line
has shot a hare being wrapped in the murk.

Or fell on his knees like a hypocrite
before the Last Judgement put next to it.

「コルネリス・ファン・デル・ヘーストの収集室にて」by 川越敏司

ひんやりとすがすがしい秋の日に
アントワープの香辛料業者が
高貴な方々を招待した高い吹き抜けの部屋には
多くの絵画が展示されていた。

有名な芸術家であるルーベンスが
このツアーでは信頼の置ける案内役を勤め
画家のファン・ダイクもまた
床に置かれた『聖母子』の絵を解説している。

しかし、見よ! 1人の紳士が列を離れ
興味を示すのはヤン・ウィルデンスの
猟犬を引きつれた狩人の絵で
霞の中で野兎を射止めた場面を描いたものだ。

あるいは偽善者のように膝をかがめているのは
その横に置かれた『最後の審判』の絵のためかもしれない

 

2021年7月16日 (金)

英語俳句が海外雑誌に掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの英語俳句とその日本語版が掲載されました。

Ekphrastic Writing Challenge: Marian Spore Bush
https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-challenge-marian-spore-bush

 今回の課題はマリアン・スポール・ブッシュ(Marian Spor Bush)の"Peace"という絵画でした。これは明らかにシェイクスピア『ハムレット』のオフィーリアを描いたものですね。

 以下が採択された英語俳句とその日本語版です。英語俳句は5音節・7音節・5音節という構造です。

英語俳句:
A daisy caplet
by the dead maiden's body
Burial at sea

日本語訳
ヒナギクの花飾りが
死せる少女のそばにある
水葬のとき

日本語版:
ヒナギクの花とたゆたう死装束

 あと、こちらは採用されませんでしたが、今回の課題のために作ったシェイクスピア風ソネットです。abab cdcd efef ggの脚韻です。

"Die in Peace" by Toshiji Kawagoe

A woman, once who sucked the honey from
her fiancee's breath, a flower of sweet-scent,
has been dejected and her soul succumb
to death made her into the brook descent.

A garland made of flowers now spreads wide
and she like mermaid floats in cold water.
A dress in pearl white of unmarried bride
is blackened by the muddy backwater.

Ah poor Ophelia! Why did you not go
to there a nunnery which to your mind
a peaceful sanctuary could bestow
eternal life, only hope left behind?

Here comes an albatross who gets around
your neck and soon its burden lets you drowned.

 

「安らかに眠れ」by 川越敏司

この女性はかつて蜜のように甘い
許嫁の口から洩れる花のような香りを味わっていたが
いまは見捨てられ、死の誘惑に勝てずに
小川のせせらぎに身を投じてしまった。

すでにその花飾りはほどけて広がり
彼女は人魚のように冷たい水の上をただよっている。
この未婚の女性の真珠色のドレスは
汚れたよどみに黒く染まってしまっている。

かわいそうなオフィーリア! あなたはどうして
あそこに、修道院に行かなかったのだろう。
心に平安をもたらす聖所
永遠の命を授けてくれる、最後の望みのあの場所へ。

ほら、アホウドリがもうそこまで来ている。
あいつはあなたの首に巻き付いて、水の底へと引きずり込むだろう。

 

(注)albatross around one's neckは、一生ついて回る罪を意味する熟語。カトリックでは自殺を罪とみなすことをほのめかしています。

2021年6月20日 (日)

海外の英詩の創作コンテストに応募

 ニューヨークを拠点にした韻律詩専門のThe Society of Classical Poetsが、現在、既存の名作詩の1行目を出発点にした創作コンテストFirst-Liners Poetry Contestを開催しています。わたしも早速ソネットを作り参加してみました。入賞者には賞金が出るようです。

 

First-Liners Poetry Contest

https://classicalpoets.org/2021/06/17/first-liners-poetry-contest/

 

 わたしが投稿した作品は、17世紀の詩人で、宗教的なことや神秘的なことを題材にした「形而上学詩」の代表者の1人ジョージ・ハーバートの『聖堂』という詩集に収められた「聖書」という題の2作のソネットのうちの1つを基にしました。ハーバートの詩とその私訳は以下の通りです。

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"The Holy Scriptures I" by George Herbert

Oh Book! infinite sweetness! let my heart
Suck ev'ry letter, and a honey gain,
Precious for any grief in any part;
To clear the breast, to mollify all pain.

Thou art all health, health thriving, till it make
A full eternity: thou art a mass
Of strange delights, where we may wish and take.
Ladies, look here; this is the thankfull glass,

That mends the looker's eyes: this is the well
That washes what it shows. Who can endear
Thy praise too much? thou art heav'n's Lidger here,
Working against the states of death and hell.

Thou art joy's handsel: heav'n lies flat in thee,
Subject to ev'ry mounter's bended knee.

ジョージ・ハーバート『聖堂』より「聖書Ⅰ」

おお、聖書よ! 無限に甘美なる聖書よ! わたしの心に
そのあらゆる文字と蜜のような甘さを、
世界中のどのような悲しみにも利く尊いその言葉を吸わせてほしい、
胸のつかえを取り除き、あらゆる痛みを和らげるために。

あなたは全き健康、健康の増進者で、
永遠の命にさえ至らせてくれる。あなたはこの世のものではない
歓びの塊で、皆がそこから分け前を得ようと願うだろう。
淑女たちよ、覗いてほしい。これこそ恵みの鏡、

それを覗く者の目を矯正してくれる。これこそは泉、
そこに映るよしなしごとを洗い流してくれる。これほどまでに
あなたへの賛美を喜ぶことができるのはいったい誰だろう? あなたは天にある
命の書、死者たちの王国や地獄に対して戦い続けている存在。

あなたは喜ばしい祝福の恵み、あなたの内には天が横たわっており、
そこへ向かおうとするすべての登頂者が、膝を曲げて跪いている。

注)
1行目と2行目で聖書の形容として「甘美」や「蜜」とあるのは、「ヨハネの黙示録」第10章8節~10節にある「あなたの腹には苦いが、口には蜜のように甘い」が念頭にあるものと思います。

11行目のLidger=Ledgerは直訳では「台帳」ですが、ここでは「命の書」としました。
「命の書」については「ヨハネの黙示録」に数か所言及があり、例えば、第21章26-27節に「人々は、諸国の民の栄光と誉れとを携えて都に来る。しかし、汚れた者、忌まわしいことと偽りを行う者はだれ一人、決して都に入れない。小羊の命の書に名が書いてある者だけが入れる 」とあります(ここで「都」とは天の都=天国のことです)。

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 このハーバートのソネットの1行目を借用してわたしが創作したのが以下のソネットです。脚韻の構造はハーバートの原詩と同じく、abab cdcd effe ggとしています。

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"The Holy Scriptures I" from George Herbert's "The Temple"

Oh Book! infinite sweetness! let my heart
rejoice whenever I am lost in grief
or intimate relation falls apart
like castle of cards or a deadly leaf.

Oh blessed elixir of eternal youth,
my panacea bequeathed from the past,
with each turn of a page I find in truth
that my old wounds unhealed be soothed at last.

The smell of a well-thumbed small book calls back
the night I was long sleepless in my childhood
for cruel nightmare, by a pile of firewood
my grandma told tales from this leatherback.

Its inks and pages have faded in color,
old story still redeems me from my dolor.

おお、本よ! 無限に甘美なる本よ! わたしの心を
喜ばせてほしい、わたしが悲しみに沈むとき、
あるいは親密な関係が壊れてしまい、
カードで組み立てた城や枯れた葉のようにバラバラになってしまうときは。

おお、永遠の若さをもたらす祝福された妙薬よ、
過去から伝承された万能の薬よ、
そのページを繰るごとに、実際わたしは
癒されなかった過去の傷がついに癒えていくのがわかる。

手垢が付くほど使いこまれたこの小さな本の匂いが
呼び覚ますのは、子供の頃の長い不眠の夜、
恐ろしい悪夢にうなされた時、暖炉のそばに積み上げられた薪のそばで
祖母がこの革表紙の本から読み聞かせてくれたお話の数々。

インクもページも色あせてしまったが、
その古いお話は、いまでも悲しみからわたしを救い出してくれる。

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2021年6月18日 (金)

海外雑誌に自作ソネット初掲載!

 絵画などのアートと詩との相乗効果をねらうエクフラシス理論を実践する芸術家専門の海外の雑誌The Ekphrastic Reviewに、わたしの創作したソネットが掲載されました。

 この雑誌で2週間に一度、課題の絵が提示されて、それにちなんだ詩や小説を投稿し競い合うEkphrastic Writing Challengeというイベントがあるのですが、そこに応募しました。応募したのは、シェイクスピア風ソネットです。

 掲載作は以下のリンクからご覧ください。

 

Ekphrastic Writing Responses: Derrick Hickman

https://www.ekphrastic.net/ekphrastic-writing-challenges/ekphrastic-writing-responses-derrick-hickman

 

 以下は、このわたしのソネットの日本語訳です。

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「なんて魅力的なんだ」 by 川越敏司

ずっと以前に、僕の先祖は飛ぶことをやめてしまい、
いつの間にか、僕たちは翼を失ってしまった。
だから僕は、生まれつき空には興味がなくて、
このよどんだ空気の中で休みなく水を飲んでいるって次第。

なあ、お前、飛べない鳥には価値がないだなんて、
なんてこと言うんだ! 実際、僕は誇らしいよ、
だって、僕のお腹の中にあふれているのは高貴な血、
その一滴一滴が、イカロス由来のものなんだ。

手に入らない物を夢見るのは愚かなものだ、
たとえ、向こうにいるあの娘がどんなにハッとするほど魅力的だとしても。
だから、能天気な坊や、頭を冷やせよ、
そんな馬鹿げた企てなんか、やめておけ!

僕の先例に習って、あの娘を口説いたりするんじゃない。
ここで、僕と一緒にこの泥水をすすっていればいいんだ……

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 また、いつものようにこの詩に曲を付けてみました。今回は、ソナチネ・アルバムにあるような古典派のピアノ曲、とりわけ、モーツアルトっぽい曲を作ってみました。左手の伴奏で同音反復する部分などがそれっぽい感じになっています。また、この伴奏はアルベルティ・バスが基本ですが、対位法的なことも少し考慮して入れてあります。

All-this-glamor

 

 

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